猫の福祉を変えるのは誰か

さくらカフェを開業して以来、いろいろな所で「動物病院が保護猫カフェもやってて素晴らしい!」とお褒めの言葉をいただきます。

僕はたいていこうお答えしています。

病院側は箱とシステムを作っただけなんです。

中で頑張っているのはボランティアスタッフさんです。

と、いつも同じ答えです。

現在総勢100名以上のスタッフさんが参加しています。

ほとんどの方が週1回程度の参加で、自身の生活に無理がないようにシフトに入っていただいています。

僕は野良猫の福祉がもっと向上して欲しいと思って野良猫の不妊手術を主な活動とした病院を開業しました。

飼い猫と野良猫は同じ猫であるにも関わらず、全く違う運命です。

一方は100万円以上の高度医療を受けて長生きし、一方は餌を食べることすらままならい。

家の中と外で壁1枚はさんだだけてすごい格差です。

せめて生まれてくる仔猫を減らして少しでも格差を減らしてあげたい。

2014年の開業当時はそれに共感してくれる人が地方にもいるのかなと、不安でした…。

蓋を開けてみるといっぱいいました。(笑)

昨年は飼い主のいない猫8,000匹の手術を行いました。

野良猫に詳しくない方とお話しすると、そんなに野良猫がいるものなんですね!と驚かれます。

でもまだまだいます。

8,000匹の不妊手術は全国の野良猫の数からすると微々たるものです。

しかし8,000匹を手術したということは、8,000匹を捕まえて病院まで運んだ人がいました。

これは手術するよりよっぽど大変ですよ。

他にも手術する場所を確保してくれた人、分院で予約受付をしてくれた人、ケージの掃除をしてくれた人、毛刈りや消毒をしてくれた人、手術器具を洗ってくれた人、などなど本当にたくさんの方が参加して成り立っています。

皆さんができる範囲で参加していただいて、心から感謝しています。

こういったたくさんの人の少しずつの努力が野良猫の福祉を向上させるのだと思います。

病院もただの箱でしかありません。

ひとりで猫を捕まえて手術してリターンなら年間1,000匹にも満たないでしょう。

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